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海の武士道

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一月ほどまえに、愛車のオイル交換のため、ガソリンスタンドの待合室で新聞を読んでいた。
書籍の広告欄に、ふと目がとまった。

タイトルは「海の武士道」。
いや、タイトルよりも説明書きの方が私の心をゆさぶった。

第二次世界大戦中に、日本海軍の駆逐艦「雷」(いかずち)の艦長だった工藤俊作艦長が、日本軍に撃沈された英国艦船の漂流乗組員422人を救助したという事実があったことを知っているか・・・というような内容だったと思う。

イギリスと日本の軍人さんの間で何が!!!

この本を読みたいと思いながら、仕事の忙しさですっかり忘れていて・・・やっとネットで注文して取り寄せた。

「雷」の乗組員220名に対し、敵兵422名のイギリス人を助けた工藤艦長とはどのような人物だったのか、とても気になったのです。

しかも、この工藤艦長のこの偉業を伝えたのは、工藤艦長率いる雷乗組員に助けられた、元イギリス海軍フォール少尉(当時23歳)。
1942年3月、ジャワ海で艦隊を撃沈され、英国艦船の乗組員400人余りが海を漂流中、ちょうどそこを巡回していた日本海軍の雷によって全員救助され、船の上では、重油と汚物にまみれたイギリス人の身体を丁寧に洗い流し、水やビスケット、衣服まで与え、和やかなムードが漂っていたのだそう。
その後、イギリス海軍の士官が集められ、工藤艦長が敬礼し、流暢な英語で、「諸官は勇敢に戦われた。いまや諸官は日本海軍の名誉あるゲストである」とスピーチをしたのだそうだ。フォール卿は「自分は夢をみているのではないか」と何度も手をつねったという。

その後、フォール少尉はイギリスに戻り、戦後、外交官となり、サーの称号を授与されるまでの人物となったのだけど、工藤艦長の事を忘れず、あの時のお礼がずっと言いたかったそうなのだ。
すでに、探し当てたときは、工藤艦長はお亡くなりになっていたのだけど、昨年12月に二度目の来日を果たし(一度目は、工藤艦長の消息さえもわからなかった)、工藤艦長の墓参りを果たしたそうです。

日本では8月15日「終戦記念日」で、戦争を反省し、戦争で亡くなった人を悼む日・・であるけれど、それは敗戦国の国のこと。
イギリスでは、「Victory over Japan Day」と日本という名前がついた勝利日。
私はこの8月15日にイギリスに滞在したことがないので、わからないのだけど、今までに読んだことがあるイギリスに滞在した方のエッセイなどを読んでいると、この日道を歩いていたら、退役軍人であろう老人に「日本へ帰れ!」といきなり言われた・・ことがある人もいたようです。

1998年、天皇皇后両陛下がイギリスを訪れた際、第二次世界大戦中、日本軍の捕虜となり、非人道的な扱いや賠償問題などで、多くの退役軍人が抗議のパレードをしたのだそうだけど、イギリスの新聞タイムズ紙に工藤艦長率いる日本海軍雷に救助されたこと、敵兵救助を決断した日本の武士道を賛美し、その国の元首を温かく迎えようというフォール卿の投稿によって、騒ぎが収まったとも・・・。

戦時中に敵兵422名を助けた工藤艦長は、戦後、そのことは家族にも言わず、静かに亡くなったのだそうです。

工藤艦長が教育を受けたとされる海軍兵学校では、イギリスのパブリックスクールのようなフェアな精神に基づく教育がなされたいたのだそう。
当時の海軍兵学校を卒業した者は、総理大臣になったものや世界に通用するエリートがたくさん輩出されたのだとか。当時の方たちに、今の政治家さんたちを改めて教育してほしいものでございます。。。

何かと非難されるばかりの日本ですが、フォール卿が工藤艦長を捜すことがなければ、この事実は闇の中に消えていたでしょう。。。フォール卿に深く感謝です。


工藤艦長とフォール卿のお話については、2年前フジテレビの番組で再現ドラマが放送されたのだそうです。

で、探しました。ありました!


工藤艦長、雷の乗組員の方々、どうぞ安らかにお眠りください。


Japanese Bushido saved lives








by chelsea26 | 2009-03-28 00:46 | 本・雑誌