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おろしや国酔夢譚

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1782年の天明2年、伊勢の白子漁港から江戸へ向かう途中に、嵐に遭い、漂流の末にロシアのアリューシャン列島のアムチトカ島に漂着した船頭「大黒屋光太夫」ら17人が日本に帰国するまでの10年間の実話を描いた井上靖氏の「おろしや国酔夢譚」を久しぶりに読み返した。以前、何度も読んだので、本がかなりボロボロ・・(苦笑)。

90年代半ば頃、レンタルビデオ屋で借りた、この小説を元に作られた映画を見たことにより、「大黒屋光太夫」という男に興味を持った。

漂流中に仲間の一人が死亡。極寒のアムチトカ島で4年過ごしている間に仲間の7人が死亡。
何としてでも日本に帰りたいと願っていた残りの9人は流木を集めて船を造り、カムチャッカに渡る。そのカムチャッカでは3人が死亡。
そして、やっとオホーツクへ渡り、シベリア大陸を横断中に、仲間の一人が死亡、二人がロシアに帰化。レニングラードではエカテリーナ2世に謁見し、やっと日本への帰国を許可されたのが、漂流してから10年後の事。
17人の男たちの内、日本に帰国できたのはたったの3人、でも、内一人は、根室の港で死亡。日本に帰国できたのは大黒屋光太夫と磯吉の二人だけ。

ロシアとしては日本との交易も兼ねて、この二人の帰国も許したのだけど、鎖国中の日本はなかなかロシア側を日本に上陸させないで、長崎へ廻れ・・などと、先日見た大河ドラマ「龍馬伝」でもアメリカ側に「長崎へ・・!」としつこく言い放っていたのと同じ(苦笑)。

現在視聴中の韓国ドラマ「イ・ジェマ」でも1860年代、フランスやアメリカが朝鮮への開国をもとめてやってきたところ、アメリカ商船が朝鮮側に焼き討ちにされて、その後、ものすごい戦闘のシーンがありました。この時代、アジアは大激変だったんですね~。日本は何事もなく開国できて・・いや薩摩と英国は戦っていたらしいけど。

話はもどって、やっと日本に帰国できた二人でしたけど、鎖国中の日本側としては、彼らは鎖国中に外国に行った犯罪者として扱い、二人は江戸に軟禁されることに。
世が世なら、ジョン万次郎のように通訳者として名前を後生に残せたかもしれないのに。
軟禁といっても、そんなに厳しいものではなかったようで、一度、故郷の白子にも戻ったそうですが、すでに、船員全員死亡と思われていたため、残された光太夫の妻は再婚しており、その後、江戸に戻った光太夫も再婚したそうです。何とも可哀想な運命だったのですね。

この光太夫を映画で演じたのが緒方拳さん。この映画はとっても面白かったけど、彼らの壮絶な10年をたった2時間に詰め込んでいたのは、かなり無理があった。
韓国なら、これをきっとドラマ化してくれるだろうな~。きっと全100話ぐらいで(笑)。

映画化される前に、光太夫ら船員らの足跡を追って、シベリア横断の旅をした男たちがいた。
それが作家椎名誠さんやTBS関係者。
1985年、まだソビエト時代にロケを行い、TBSドキュメンタリー番組として5時間放送されたそうです。昔はこんな良い番組があったんですよね~。

それをエッセイにして書かれたのが「シベリア追跡」。これまた、かなり感動の一冊でした。
びっくりしたのが1700年後半、大黒屋光太夫たたちが、イルクーツクという町に滞在していたときに、ロシア人と日本人のハーフの男性が会いにやってきたとのこと。
じつは、やはり漂流してロシアに流された日本人がここで、日本語教師として働き、そこで結婚していたそうなのです。すでに、そのハーフの父親たちは亡くなっていたそうですが。このときばかりは、光太夫も、「自分らも、ここで日本語教師にならなければいけないのか?」と思い悩んだことでしょう。

椎名誠さんたちがその町を訪れたとき、当時、日本語学校だったという建物が現存していたのだとか。いやぁ、200年前ですよ。そのときにすでに、ロシアでは日本との交易を考えて、日本語学校が作られていたとは驚きです。鎖国している場合ではなかったんですよ、江戸幕府!

シベリアでは、マイナス50度以下を体験し、当時の共産圏らしく何でもが秘密主義のため、撮影も大変だったそうです。

マイナス50度の世界は馬もこんな顔になっちゃう。

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でも、このエッセイを読んでいるうちに、ロシアという国と人を知ることにより、光太夫たちがなぜこの極寒の地で生きながらえ、日本まで帰国することができたのか、何となくわかったような気がしました。


それにしても、このTBSドキュメンタリー番組が見たい~と思っていたら、ありました!
ソビエト時代の様子も見ることができて、かなり感動。
でもこのシリーズ24まであります!長いです。でも、見始めたら止まらない・・。続きを見たい方は検索してくださいませ。すいません。









by chelsea26 | 2010-02-21 00:46 | 本・雑誌